部門紹介
東京国際映画祭の上映作品は、多彩な部門によって構成されています。
2024年1月以降に完成した長編映画を対象に、世界各国・地域の応募作品の中から、厳正な審査を経た15本の作品を期間中上映します。今年は110の国と地域から2,023本もの応募がありました。国際的な映画人で構成される審査委員のもと、クロージングセレモニーで各賞が決定されます。
合言葉は"アジア発、世界へ!未来へ!"ー2013年の第26回TIFFから始まった「アジアの未来」部門は今年で11年目を迎えます。長編3本目までのアジア(日本・中東を含む)のフレッシュな作品を世界に先駆けて上映するアジア・コンペティション部門です。最優秀作品には「アジアの未来 作品賞」が贈られます。今年は日本映画2本を含むすべて世界初上映(ワールド・プレミア)の10作品が競い合います。ご期待ください。
日本公開前の最新作をプレミア上映します。今年の世界の国際映画祭で話題になった作品、国際的に知られる巨匠の最新作、本国で大ヒットした娯楽映画など、映画祭を盛り上げる作品13本を上映します。
ドイツから香港、テヘランから近未来的日本まで、女性の複雑な諸相を描いた女性監督による作品を特集します。女性のアイデンティティやたくましさ、変容に光をあてた作品群は、世界中の女性の多様性と強さを称えます。
現在の世界の映画界の潮流を示す作品を上映します。また、ナンニ・モレッティや生誕100周年となるマルチェロ・マストロヤンニなどのイタリア特集、メキシコの巨匠 アルトゥーロ・リプステインの特集など多彩な特集上映も行います。
少年少女に映画の素晴らしさを体験してもらう部門です。「TIFFティーンズ映画教室」は、中学生たちが限られた時間の中で映画を作り、その成果をスクリーンで発表します。「TIFFチルドレン」はサイレント映画の名作をパフォーマンス付きでお届けします。
「TIFFティーンズ」は国際映画祭で評価された作品の中から高校生世代に刺激を受けてもらいたい秀作を上映します。
日本映画の新作を対象に、特に海外に紹介されるべき日本映画という観点から選考された作品を上映する部門です。また、本年はジャンルを超えて振り幅の大きい野心作を撮り続けている入江悠監督の作品を特集上映します。
アニメーション部門は、国内の最新作と海外での話題作を集め12作品上映します。それに加え、レトロスペクティブとして「宇宙戦艦ヤマト」放送開始50周年を記念した劇場版の4K上映を行い、アニメーション関連のシンポジウムも3つ開催します。
日本映画の名作クラシック作品を上映する部門です。今年は生誕100周年の増村保造監督や没後10年の高倉健の特集をします。
TV放映、インターネット配信等を目的に製作されたシリーズものの秀作を日本国内での公開に先駆け、スクリーンで上映する部門です。
市山尚三(いちやま しょうぞう)
1963年生まれ。松竹、オフィス北野をベースに主に海外の映画作家の作品をプロデュースする。主な作品にホウ・シャオシェン監督の『フラワーズ・オブ・シャンハイ』(1998)、カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞したサミラ・マフマルバフ監督 の『ブラックボード』(2000)、カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞したジャ・ジャンクー監督の『罪の手ざわり』(2013)等があ る。また1992年から1999年まで東京国際映画祭の作品選定を担当。2000年に映画祭「東京フィルメックス」を立ち 上げ、ディレクターを務めた。2013年より東京藝術大学大学院映像研究科の客員教授。2019年、川喜多賞受賞。 2021年、東京国際映画祭プログラミング・ディレクターに就任。
石坂健治(いしざか けんじ)
1960年生まれ。早稲田大学大学院で映画学を専攻し、アジア映画、ドキュメンタリー映画に関する批評活動を開始。1990年より2007年まで国際交流基金専門員としてアジア中東映画祭シリーズを企画運営。2007年の第20回TIFFよりアジア部門のプログラミング・ディレクターに就任。 2020年より現職。日本映画大学教授・映画学部長。共著書に『ドキュメンタリーの海へ』(現代書館)など。(米国ミシガン大学招聘教授として渡米中のため本年度は作品選定のみ担当)
藤津亮太(ふじつ りょうた)
アニメ評論家。1968年、静岡県生まれ。新聞記者、週刊誌編集を経て、2000年よりアニメ関係の執筆を始める。主な著書に『増補改訂版 「アニメ評論家」宣言 』(ちくま文庫)、『アニメの輪郭』(青土社)、『アニメと戦争』(日本評論社)などがある。東京工芸大学非常勤講師。
アンドリヤナ・ツヴェトコビッチ
初代駐日マケドニア大使で、2022年にはWIN Inspiring Women Worldwide Awardを受賞。日本大学で映画研究の博士号を取得、欧州大学で名誉博士号を授与され、京都大学では客員教授を務めた。映画監督としては映文連アワードの部門優秀賞を受賞。その他、世界経済フォーラムや国連気候変動会議で講演を行う。東京国際映画祭では2023年に「SDGs in Motion トーク」のプログラム・キュレーター、2021年にはAmazon Prime Video テイクワン賞の審査委員を務めた。
アンドリヤナ・ツヴェトコビッチ シニア・プログラマー コメント
長年にわたり、スクリーンの表現は主に男性の視点で描かれるものが多く、より幅広い鑑賞体験というものが欠けていました。しかし、デジタル技術の進歩により、映画製作はより身近なものとなり、女性監督、脚本家、主人公が大幅に増えてきています。今回の東京国際映画祭のこの部門は、このような新しい声に焦点を当て、彼女たちの多様なストーリーと映画への貢献を称えるものとなります。
幅広い知見・人脈と多様な価値観を有する外部専門家の協力を頂き、上映作品を選定しました。
安藤紘平
(あんどう こうへい)
早稲田大学名誉教授
金原由佳
(きんばら ゆか)
映画ジャーナリスト
関口裕子
(せきぐち ゆうこ)
映画ジャーナリスト