©2024 TIFF
第37回東京国際映画祭のコンペティション部門作品『
娘の娘』の上映後のQ&Aが10月29日、丸の内TOEIで行われ、監督・脚本を務めたホアン・シー(写真・左)、出演・エグゼクティブプロデューサーを務めたシルビア・チャン(左から2番目)、共演のカリーナ・ラム(左から3番目)、ユージェニー・リウ(右)が出席した。
大女優チャンが、ホウ・シャオシェンとともにエグゼクティブプロデューサーを務めた本作。台北に暮らすジン・アイシャは、体外受精のために同性のパートナーとアメリカに渡った娘ズーアルが交通事故に遭ったという報せを受け渡米するが、ズーアルとパートナーは亡くなり、アイシャが受精卵の保護者となる。アイシャは代理母を探すのか、放棄するかの選択を迫られる……。2017年の『台北暮色』で鮮烈なデビューを飾ったホアン・シーの監督第2作。時制を行き来する構成のなか、アイシャの老母を含む三世代の女性たちの物語が繊細に紡ぎ出される。
上映後、大勢の観客で埋まった客席を見渡したホアン監督は、「今日はこんなにもたくさんの方に映画を観ていただけて本当にうれしく思います」と感激の表情。シルビアも「今日はうれしく思います。今日わたしは“ふたりの娘”を連れてきました。ふたりともとても美しい娘で、わたしはふたりを平等に愛しています」と続けた。
本作の物語の発想について質問されたホアン監督は、「実はこの脚本のはじまりはわたしの母と関係があります」と明かす。「わたしは『台北暮色』を撮り終わった後にアメリカのロサンゼルスに行ったんですけど、そこで人工授精に取り組み、苦労している人がいることを知りました。そしてその前に母から、アメリカに行くならちゃんと保険をかけなさいと。アメリカで運転すると危ないからと言われて。自分も事故を起こしたらどうしようと怖かったこともあり、それが脚本につながりました。そして人工授精についても、わたしが死んだとして、母はその整理をつけることをしてくれるのだろうか。そういうところからこの発想が生まれました」。
この日の観客は、カリーナ演じる娘・エマの人物像に興味津々だったようで、エマが着ていたTシャツに書かれた英語の文字「Not selfish,once in a while.」に込めた意味、そしてエマが置かれた境遇が最初には明かされず、次第にその概要が明らかになっていくという描き方はなぜなのか、といった映画の内容に突っ込んだ質問を次々と監督に投げかけていた。
最後に映画の感想をカリーナに投げかけると、「最初に脚本を読んだとき、エマは虚構の人物。実際は存在していない、空想上の存在じゃないかと思っていました。2回目に読んだ時も実在していない雰囲気は変わりませんでした。でもエマをどういう風に演じるのかというのは、チャレンジングなことなので、ぜひやってみたいと思いました。そして結局は普通の人間として演じました。あまり気負った感じでは演じていない。だからもしかしたら実在しないのかもしれないような彼女を演じたということを思い出しながら、今日は皆さんと一緒に映画を観ていたんですが、皆さんは、それを不思議に感じないで。もしかしたらエマの存在というのは想像上のものなのか、実在の存在なのか、ということに関係なく、映画に入り込んでいらっしゃるような感覚がありました。だからわたしは監督とシルビアさんにとても感謝をしています」と思いを明かした。
さらにユージェニーも「今日、映画を観たのは2度目なのですが、1回目に観た時よりも感情が湧いてきました。なんといってもママ(シルビア)とお姉さん(カリーナ)と一緒に観たということですから。母親と姉の愛情を十分に感じることができたわけです。そういう意味でもわたしにとってはとても感動的な作品でした」と感慨深い様子で登壇者たちに感謝の思いを述べた。
第37回東京国際映画祭は、11月6日まで開催。
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第37回東京国際映画祭のコンペティション部門作品『
娘の娘』の上映後のQ&Aが10月29日、丸の内TOEIで行われ、監督・脚本を務めたホアン・シー(写真・左)、出演・エグゼクティブプロデューサーを務めたシルビア・チャン(左から2番目)、共演のカリーナ・ラム(左から3番目)、ユージェニー・リウ(右)が出席した。
大女優チャンが、ホウ・シャオシェンとともにエグゼクティブプロデューサーを務めた本作。台北に暮らすジン・アイシャは、体外受精のために同性のパートナーとアメリカに渡った娘ズーアルが交通事故に遭ったという報せを受け渡米するが、ズーアルとパートナーは亡くなり、アイシャが受精卵の保護者となる。アイシャは代理母を探すのか、放棄するかの選択を迫られる……。2017年の『台北暮色』で鮮烈なデビューを飾ったホアン・シーの監督第2作。時制を行き来する構成のなか、アイシャの老母を含む三世代の女性たちの物語が繊細に紡ぎ出される。
上映後、大勢の観客で埋まった客席を見渡したホアン監督は、「今日はこんなにもたくさんの方に映画を観ていただけて本当にうれしく思います」と感激の表情。シルビアも「今日はうれしく思います。今日わたしは“ふたりの娘”を連れてきました。ふたりともとても美しい娘で、わたしはふたりを平等に愛しています」と続けた。
本作の物語の発想について質問されたホアン監督は、「実はこの脚本のはじまりはわたしの母と関係があります」と明かす。「わたしは『台北暮色』を撮り終わった後にアメリカのロサンゼルスに行ったんですけど、そこで人工授精に取り組み、苦労している人がいることを知りました。そしてその前に母から、アメリカに行くならちゃんと保険をかけなさいと。アメリカで運転すると危ないからと言われて。自分も事故を起こしたらどうしようと怖かったこともあり、それが脚本につながりました。そして人工授精についても、わたしが死んだとして、母はその整理をつけることをしてくれるのだろうか。そういうところからこの発想が生まれました」。
この日の観客は、カリーナ演じる娘・エマの人物像に興味津々だったようで、エマが着ていたTシャツに書かれた英語の文字「Not selfish,once in a while.」に込めた意味、そしてエマが置かれた境遇が最初には明かされず、次第にその概要が明らかになっていくという描き方はなぜなのか、といった映画の内容に突っ込んだ質問を次々と監督に投げかけていた。
最後に映画の感想をカリーナに投げかけると、「最初に脚本を読んだとき、エマは虚構の人物。実際は存在していない、空想上の存在じゃないかと思っていました。2回目に読んだ時も実在していない雰囲気は変わりませんでした。でもエマをどういう風に演じるのかというのは、チャレンジングなことなので、ぜひやってみたいと思いました。そして結局は普通の人間として演じました。あまり気負った感じでは演じていない。だからもしかしたら実在しないのかもしれないような彼女を演じたということを思い出しながら、今日は皆さんと一緒に映画を観ていたんですが、皆さんは、それを不思議に感じないで。もしかしたらエマの存在というのは想像上のものなのか、実在の存在なのか、ということに関係なく、映画に入り込んでいらっしゃるような感覚がありました。だからわたしは監督とシルビアさんにとても感謝をしています」と思いを明かした。
さらにユージェニーも「今日、映画を観たのは2度目なのですが、1回目に観た時よりも感情が湧いてきました。なんといってもママ(シルビア)とお姉さん(カリーナ)と一緒に観たということですから。母親と姉の愛情を十分に感じることができたわけです。そういう意味でもわたしにとってはとても感動的な作品でした」と感慨深い様子で登壇者たちに感謝の思いを述べた。
第37回東京国際映画祭は、11月6日まで開催。