松重豊
第37回東京国際映画祭のガラ・セレクションに選出された『
劇映画 孤独のグルメ』のジャパンプレミアが11月4日、東京・TOHOシネマズ日比谷で行われ、監督・脚本・主演を務めた松重豊がQ&Aに参加した。
2012年1月からテレビ東京で放送がスタートしたドラマ「孤独のグルメ」を、井之頭五郎を演じてきた松重による初の監督・脚本で劇映画化。本編撮影はフランス・韓国・日本の3カ国で敢行している。
松重は「お腹が空いている時間にごめんなさい。一目散にラーメン屋に駆け込みたいと思っている方々ばかりだと思いますが…(笑)」と口火を切ると、「12年前に始まったテレビ東京の小さな番組が、このような晴れの舞台で皆さんにご覧いただけた――とにかく感無量です!」と感謝を述べる。「先程客席にも忍び込みましたけど、笑っていただけたのが何よりです」と思いの丈を述べた。
“劇映画化”の経緯については「ちょうど2年前、節目ともなる「Season10」の時、これから続けるか、やめるかという岐路に立ちました。どんどん若いスタッフも他所にいったりと“お別れ”をすることも多くなった。この番組で育っていけばいいのに、やはりそういう環境にない“今のテレビドラマの現状”というのもあって、1回仕切り直そうという気分があったんです」と告白。腹が減ったおじさんの物語を映画化する――これには「相当の力技が必要」だと感じ、韓国のポン・ジュノに監督を依頼したが、多忙を理由にオファーを断られてしまった。「断りの手紙が届いた夜に、ふと「俺、監督しようかな」と。翌々日くらいに今回のシノプシスを書いて、全スタッフに共有したところ、皆が『やりたい』となったので、じゃあ皆で頑張って映画化しようとなりました」と振り返った。
観客からは“音楽”についての質問が飛び出した。TVシリーズで音楽を担当しているのは、原作者の久住昌之氏を中心とした「The Screen Tones」。松重は「今回は音楽を映画用に作りたい」と感じたようだ。
松重「昔からよく知っているKan Sanoさんにお願いをしました。フランスパートの音楽とか、あとエンディングはピアノをメインにした曲にしたかったんです。ピアノがずっと単音で流れていくなかで物語が淡々と進んでいく。そこで登場人物の感情を呼び覚ます効果を狙いたかった。あとは40年来の友人・甲本ヒロトくんが率いる「ザ・クロマニヨンズ」に主題歌をお願いしました。40年前、腹を空かせてラーメン屋でバイトをしていた2人のことを思って書いてくれた曲には心震えました。音楽に関しては、The Screen Tonesさん、Kan Sanoさん、ザ・クロマニヨンズという3つの力強い味方を得ています」
続けて“ネタバレ厳禁シーン”の裏話で場内を盛り上がらせ、韓国パートにまつわる秘話を披露。「(最初に書いたシノプシスでは)もっと“大冒険話”になっていたんですが、これでは「韓国パートに金がかかるぞ」と、上層部からストップがかかりまして(笑)。「韓国パートを圧縮してくれ」と言われたので「だったら、エッフェル塔の前で“孤独カット”やるしかないでしょ」と、僕が一人でごねまして、それでフランスに行くという経緯になったんです(笑)」と語っていた。
また「こういう映画なんで……「思ったより良かったぞ」という思いは、どうか胸に秘めず、どんどん外に発信していただけると有難いです。やっぱり色眼鏡でみられがちですから。テレ東の深夜番組が映画になって、その主役をやっていた奴が監督をやったなんて、本来は笑い話にしかならない試み(笑)。ぜひ皆様のお力を借りたい」とアピール。マスコミ向けの“独り”フォトセッション時には「ずっとこうやって“独り”でやっているんです。普通は共演者がいて責任を分散できるんですけどね。全方向に僕が笑顔をふりまいています」「張り付いたような笑顔……口が乾いてまいりました」といった“ぼやき”で観客を終始笑わせていた。
第37回東京国際映画祭は、11月6日まで開催。『劇映画 孤独のグルメ』は、2025年1月10日に全国公開される。
松重豊
第37回東京国際映画祭のガラ・セレクションに選出された『
劇映画 孤独のグルメ』のジャパンプレミアが11月4日、東京・TOHOシネマズ日比谷で行われ、監督・脚本・主演を務めた松重豊がQ&Aに参加した。
2012年1月からテレビ東京で放送がスタートしたドラマ「孤独のグルメ」を、井之頭五郎を演じてきた松重による初の監督・脚本で劇映画化。本編撮影はフランス・韓国・日本の3カ国で敢行している。
松重は「お腹が空いている時間にごめんなさい。一目散にラーメン屋に駆け込みたいと思っている方々ばかりだと思いますが…(笑)」と口火を切ると、「12年前に始まったテレビ東京の小さな番組が、このような晴れの舞台で皆さんにご覧いただけた――とにかく感無量です!」と感謝を述べる。「先程客席にも忍び込みましたけど、笑っていただけたのが何よりです」と思いの丈を述べた。
“劇映画化”の経緯については「ちょうど2年前、節目ともなる「Season10」の時、これから続けるか、やめるかという岐路に立ちました。どんどん若いスタッフも他所にいったりと“お別れ”をすることも多くなった。この番組で育っていけばいいのに、やはりそういう環境にない“今のテレビドラマの現状”というのもあって、1回仕切り直そうという気分があったんです」と告白。腹が減ったおじさんの物語を映画化する――これには「相当の力技が必要」だと感じ、韓国のポン・ジュノに監督を依頼したが、多忙を理由にオファーを断られてしまった。「断りの手紙が届いた夜に、ふと「俺、監督しようかな」と。翌々日くらいに今回のシノプシスを書いて、全スタッフに共有したところ、皆が『やりたい』となったので、じゃあ皆で頑張って映画化しようとなりました」と振り返った。
観客からは“音楽”についての質問が飛び出した。TVシリーズで音楽を担当しているのは、原作者の久住昌之氏を中心とした「The Screen Tones」。松重は「今回は音楽を映画用に作りたい」と感じたようだ。
松重「昔からよく知っているKan Sanoさんにお願いをしました。フランスパートの音楽とか、あとエンディングはピアノをメインにした曲にしたかったんです。ピアノがずっと単音で流れていくなかで物語が淡々と進んでいく。そこで登場人物の感情を呼び覚ます効果を狙いたかった。あとは40年来の友人・甲本ヒロトくんが率いる「ザ・クロマニヨンズ」に主題歌をお願いしました。40年前、腹を空かせてラーメン屋でバイトをしていた2人のことを思って書いてくれた曲には心震えました。音楽に関しては、The Screen Tonesさん、Kan Sanoさん、ザ・クロマニヨンズという3つの力強い味方を得ています」
続けて“ネタバレ厳禁シーン”の裏話で場内を盛り上がらせ、韓国パートにまつわる秘話を披露。「(最初に書いたシノプシスでは)もっと“大冒険話”になっていたんですが、これでは「韓国パートに金がかかるぞ」と、上層部からストップがかかりまして(笑)。「韓国パートを圧縮してくれ」と言われたので「だったら、エッフェル塔の前で“孤独カット”やるしかないでしょ」と、僕が一人でごねまして、それでフランスに行くという経緯になったんです(笑)」と語っていた。
また「こういう映画なんで……「思ったより良かったぞ」という思いは、どうか胸に秘めず、どんどん外に発信していただけると有難いです。やっぱり色眼鏡でみられがちですから。テレ東の深夜番組が映画になって、その主役をやっていた奴が監督をやったなんて、本来は笑い話にしかならない試み(笑)。ぜひ皆様のお力を借りたい」とアピール。マスコミ向けの“独り”フォトセッション時には「ずっとこうやって“独り”でやっているんです。普通は共演者がいて責任を分散できるんですけどね。全方向に僕が笑顔をふりまいています」「張り付いたような笑顔……口が乾いてまいりました」といった“ぼやき”で観客を終始笑わせていた。
第37回東京国際映画祭は、11月6日まで開催。『劇映画 孤独のグルメ』は、2025年1月10日に全国公開される。