舞台挨拶に立った麻上洋子 ©2024 TIFF
東京・日比谷、銀座、有楽町エリアで開催されている第37回東京国際映画祭のアニメーション部門作品『
宇宙戦艦ヤマト 劇場版 4Kリマスター』が11月3日、丸の内ピカデリーで上映され、ヒロイン・森雪役の麻上洋子が舞台挨拶に立った。
SFアニメの金字塔的作品として空前のアニメブームを巻き起こした「宇宙戦艦ヤマト」のテレビ放送が、1974年に開始されてから今年で50周年。世界中が放射能に侵され、誰もが絶望の淵にいた西暦2199年を舞台に、地球を救うために遥か宇宙の彼方に向け飛び立った宇宙戦艦ヤマトの旅路を描いている。この日は、テレビシリーズの総集編として77年に公開された劇場版の4Kリマスター版をスクリーンで上映する機会となった。
登壇した麻上は、往年と変わらぬ雪の声で「古代くん……」と会場に語りかけると、「ヤマト大好きな皆さま、そして森雪を応援してくださる皆さま。わたしの心の古代くんたち。そして雪を応援してくださる女性の皆さまもありがとうございます。初代・雪のキャラクターボイス、麻上洋子でございます」と挨拶。場内からは大きな拍手がおくられた。
もともとアニメが大好きで声優の道を志したという麻上は「小さい頃からアニメ大好きで、アトムやムーミンなどを観ていました。それでアトムの声をあてている清水マリさんに会ってみたいとずっと思っていて。この仕事をすれば会えるんじゃないかと思って。こんな声をちょっと試しにやってみたら、できそうだと思ってやりたいと思いました」と志望するきっかけを説明。そんな折、黒沢良が創設した声優養成所の一期生として入所。演出家などが講師として教えに来ていたことから、アニメ「ゼロテスター」のリサ役でデビューした。
雪役はオーディションだったそうで、「決まった時はうれしかったです。わたしは声優になってアニメのキャラクターをやりたい、それも主役をやりたいと思っていましたから」と振り返った麻上。「当時は、わたしの世代の若い声優がいなかった。でも今のわたしの思いを(つくらずに)のせれば、今の声でもいいと思いました。そしたら音響監督の田代(敦巳)さんがそのままでいい。つくらないのがとてもいいと言ってくださったので、それを通しました」と振り返った。
また共演者はそうそうたるベテランばかりだったということで、「本当にスタジオでは緊張していました。収録した時代よりはるか後に永井一郎さんからも、洋子はビクビクして座ることができずに壁にへばりついていて先輩を見ていたよね、と言われたこともあります。座っている椅子の音がキュッと鳴るのも申し訳なくて。音がしないように、自分を消していたという感じです」と述懐。そんな中でも、古代進役の富山敬からはとても気遣ってもらったといい、「わたしが座れないでいたら、ここが空いているから座りなさいと言って。いつもいつもわたしの座り場所をつくってくださっていました。それから(土方役の)木村幌さんはわたしを厳しく指導してくださいました。マイクに立ってから椅子に座るまで、女優としていないと駄目だよといわれたことがあります」と明かす。
当時のテレビシリーズを振り返っても「楽ではなかったな」と感じているという麻上。「わたしの頭の中では「古代くん……」くらいしか言っていなかったような気がしていて。下手だったからセリフがなかったんだろうと思っていたんですけど、最近4Kになったものを観ると、こんなにしゃべっていたのかと驚きましたね」と笑ってみせた。
アニメファンにも森雪の人気は絶大で、たくさんのファンレターが送られてきたという。「お手紙をたくさんいただいてうれしかったので、お返事を書かなきゃと思って書きました。あれから50年たって、あの時の方たちがわたしの講談の高座に来てくださって(※現在、麻上は講談師・一龍斎春水として活躍中)。その時の方たちに50年ぶりに会えました。お返事をいただきましたと言ってくださるんですよ。なんて書いたんだろうという不安と、ちゃんとやっていたんだなと自分を褒めるような思いと、いろいろと複雑ですが、応援してくださってとてもありがたかったです」とニッコリ。
森雪という役は、「わたしにとってすごく大きな存在。いい作品にめぐりあえてすごく恵まれましたし、そこで大勢の個性ある先輩たちとご一緒することができた。先輩たちはアニメが好きというよりは、芝居が好きでやっているような方が多かったんですが、そのことが当時のアニメを深いものにしているんだなというのを深く感じられます。そのスタジオにいられたのはとても大きかったですね」としみじみ語る。
そして「最近はXをやっているのですが、皆さんが返事を書いてくださったり、“いいね”をしてくださると、ずっとつながっているんだなと。もうちょっと生きていようと思いました」と語ると、「新しい「ヤマト」も頑張っていますが、いつかわたしもその新しい「ヤマト」のひとりとして、声を出すことができたらうれしいなと思っています。これからも「ヤマト」を応援する気持ちを持ち続けていただけたら」と会場に呼びかけた。
第37回東京国際映画祭は、11月6日まで開催。
舞台挨拶に立った麻上洋子 ©2024 TIFF
東京・日比谷、銀座、有楽町エリアで開催されている第37回東京国際映画祭のアニメーション部門作品『
宇宙戦艦ヤマト 劇場版 4Kリマスター』が11月3日、丸の内ピカデリーで上映され、ヒロイン・森雪役の麻上洋子が舞台挨拶に立った。
SFアニメの金字塔的作品として空前のアニメブームを巻き起こした「宇宙戦艦ヤマト」のテレビ放送が、1974年に開始されてから今年で50周年。世界中が放射能に侵され、誰もが絶望の淵にいた西暦2199年を舞台に、地球を救うために遥か宇宙の彼方に向け飛び立った宇宙戦艦ヤマトの旅路を描いている。この日は、テレビシリーズの総集編として77年に公開された劇場版の4Kリマスター版をスクリーンで上映する機会となった。
登壇した麻上は、往年と変わらぬ雪の声で「古代くん……」と会場に語りかけると、「ヤマト大好きな皆さま、そして森雪を応援してくださる皆さま。わたしの心の古代くんたち。そして雪を応援してくださる女性の皆さまもありがとうございます。初代・雪のキャラクターボイス、麻上洋子でございます」と挨拶。場内からは大きな拍手がおくられた。
もともとアニメが大好きで声優の道を志したという麻上は「小さい頃からアニメ大好きで、アトムやムーミンなどを観ていました。それでアトムの声をあてている清水マリさんに会ってみたいとずっと思っていて。この仕事をすれば会えるんじゃないかと思って。こんな声をちょっと試しにやってみたら、できそうだと思ってやりたいと思いました」と志望するきっかけを説明。そんな折、黒沢良が創設した声優養成所の一期生として入所。演出家などが講師として教えに来ていたことから、アニメ「ゼロテスター」のリサ役でデビューした。
雪役はオーディションだったそうで、「決まった時はうれしかったです。わたしは声優になってアニメのキャラクターをやりたい、それも主役をやりたいと思っていましたから」と振り返った麻上。「当時は、わたしの世代の若い声優がいなかった。でも今のわたしの思いを(つくらずに)のせれば、今の声でもいいと思いました。そしたら音響監督の田代(敦巳)さんがそのままでいい。つくらないのがとてもいいと言ってくださったので、それを通しました」と振り返った。
また共演者はそうそうたるベテランばかりだったということで、「本当にスタジオでは緊張していました。収録した時代よりはるか後に永井一郎さんからも、洋子はビクビクして座ることができずに壁にへばりついていて先輩を見ていたよね、と言われたこともあります。座っている椅子の音がキュッと鳴るのも申し訳なくて。音がしないように、自分を消していたという感じです」と述懐。そんな中でも、古代進役の富山敬からはとても気遣ってもらったといい、「わたしが座れないでいたら、ここが空いているから座りなさいと言って。いつもいつもわたしの座り場所をつくってくださっていました。それから(土方役の)木村幌さんはわたしを厳しく指導してくださいました。マイクに立ってから椅子に座るまで、女優としていないと駄目だよといわれたことがあります」と明かす。
当時のテレビシリーズを振り返っても「楽ではなかったな」と感じているという麻上。「わたしの頭の中では「古代くん……」くらいしか言っていなかったような気がしていて。下手だったからセリフがなかったんだろうと思っていたんですけど、最近4Kになったものを観ると、こんなにしゃべっていたのかと驚きましたね」と笑ってみせた。
アニメファンにも森雪の人気は絶大で、たくさんのファンレターが送られてきたという。「お手紙をたくさんいただいてうれしかったので、お返事を書かなきゃと思って書きました。あれから50年たって、あの時の方たちがわたしの講談の高座に来てくださって(※現在、麻上は講談師・一龍斎春水として活躍中)。その時の方たちに50年ぶりに会えました。お返事をいただきましたと言ってくださるんですよ。なんて書いたんだろうという不安と、ちゃんとやっていたんだなと自分を褒めるような思いと、いろいろと複雑ですが、応援してくださってとてもありがたかったです」とニッコリ。
森雪という役は、「わたしにとってすごく大きな存在。いい作品にめぐりあえてすごく恵まれましたし、そこで大勢の個性ある先輩たちとご一緒することができた。先輩たちはアニメが好きというよりは、芝居が好きでやっているような方が多かったんですが、そのことが当時のアニメを深いものにしているんだなというのを深く感じられます。そのスタジオにいられたのはとても大きかったですね」としみじみ語る。
そして「最近はXをやっているのですが、皆さんが返事を書いてくださったり、“いいね”をしてくださると、ずっとつながっているんだなと。もうちょっと生きていようと思いました」と語ると、「新しい「ヤマト」も頑張っていますが、いつかわたしもその新しい「ヤマト」のひとりとして、声を出すことができたらうれしいなと思っています。これからも「ヤマト」を応援する気持ちを持ち続けていただけたら」と会場に呼びかけた。
第37回東京国際映画祭は、11月6日まで開催。