2024.10.31 [更新/お知らせ]
「衝動のまま動き、導かれ、色々な国に渡り、この監督と出会い、クルーと一緒に命をかけて作った作品を、皆さんにお届けできるという奇跡」10/30(水)Q&A『オラン・イカン』

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©2024 TIFF

 
10/30(水)ガラ・セレクション『オラン・イカン』上映後に、マイク・ウィルアン監督(監督/脚本)、ディーン・フジオカさん(俳優)をお迎えし、Q&Aが行われました。
 
 
市山尚三プログラミング・ディレクター(以下、市山PD):今日は監督のマイク・ウィルアンさん、主演のディーン・フジオカさんが来ていらっしゃいます。どうぞ皆さん拍手でお迎えください。
 
マイク・ウィルアン監督(以下、監督):みなさんが、今日この作品を観ると決めてくださったこと、東京国際映画祭がこの作品の上映を決めてくださったことを嬉しく思います。今日は、私が非常に尊敬するディーンさんが一緒に登壇してくれています。彼はスター俳優であるだけではなく、私にとっては、作品を一緒につくるコラボレーターであり、仲間です。次回作も一緒に撮りたいなと思っております。そして、制作に関わったクルーの皆さん、ここにいらっしゃるみなさんにお礼申し上げたいと思います。
 
ディーン・フジオカさん(以下、ディーンさん):皆さん、今日はお足元の悪い中お集まりいただきありがとうございます。斎藤(サイトウ)役を演じましたディーン・フジオカです。先ほど(監督に)コラボレーターという形でご紹介いただきましたが、実は、 途中から自分もプロデューサーの1人としてこの作品に関わることになり、今日までたどり着けたこの作品を皆さんにお届けできるということを心から嬉しく思います。“オラン・イカン”がなんなのかというね。寿司、刺身、トロなどいろんな説がありますが(笑)
ご自身の目で作品を観て確かめてみてください。今日は短い時間となりますが、最後までよろしくお願いします。
 
市山PD:僕は、本作にプロデューサーとして参加している映画監督のエリック・クーさん(以下、エリック監督)からこの作品の話を聞きました。内容は知らずに「モンスター映画」とだけを聞いて映画を観たので、本当にびっくりして、また納得もしたんですが。この映画の設定の発想は一体どこから来たのでしょうか。
 
監督:エリック監督も私もモンスター映画が大好きなんです。『大アマゾンの半魚人』という作品がそのきっかけになりました。今は“Gorylah Pictures”というホラージャンルに特化したレーベルのエグゼクティブ・プロデューサーを共に務めています。
実は、オラン・イカンはマレーシアに伝わる民話です。あまり知られていないので調べてみると、インドネシアの東に位置する、ケイ諸島(カイ諸島)で、戦争中の日本兵がオラン・イカンを観たという報告があると分かりました。
それを知って、アジア人として自分たちなりの『大アマゾンと半魚人』を作りたいと思ったんです。第二次世界大戦を背景に、人間の悲劇や人間性、友情、家族愛といった要素を描いたような作品としてです。この作品はホラー映画ではありますが、それだけではなく、クリーチャーと人間の関係性やつながりを描いた、ホラーを超えた作品をつくりたいという思いがありました。
 
ディーンさん:僕も話していいですか。(通訳中に)今、マイク(監督)とも話したのですが、最初に脚本を読んだとき、もちろんホラー映画やパニック映画、そして戦争映画、そうしたイメージも持ちましたが、それ以上に、ハートが揺さぶられる物語だというのが第一印象だったんです。
 
市山PD:まさに伺いたかったことをお答えいただきまして、ありがとうございます。ファーストインプレッションの話は必要だと思っていました。
 
ディーンさん:そうですよね。あとは場内からの質問を受けましょう。
 
 
──Q:本作ではオラン・イカンという神話を用いて物語を描いていますが、今の人間に神話は必要だと思いますか。
 
監督:どの国にも、こうした神話はあると思います。半魚人の神話というものは世界中に存在しています。 ただ、知らないものへの恐怖や畏敬の念は脈々と何世代も引き継がれるものです。見ていないからこそ伝わっていくんですね。 ただ、このオラン・イカンは、日本兵が見たという記録が残っており、それが意味する文化的な要素が加わっています。アジアにおける歴史と、民話が融合した作品です。
 
 
──Q:ディーンさんは俳優としてアクションに力を入れていますが、その原動力はなんですか。
 
ディーンさん:ずっとアクションやスタントをやってきて、今回、斎藤というキャラクターがその要素を必要としているキャラクター設定だったので、自分としてはすごく自然な形で、ブレンドさせていきました。今までアクションをやってきたことが、斎藤のために何かを準備したり決められたアクションワークをやるという意味ではなくて、むしろ、人間がサバイブする生存本能によって、どういう一挙手一投足をとるかを表現するという意味で、とても自然な反応を得られたことが良かったのかなと思いました。
 
 
──Q:今年の東京国際映画祭への参加は、実に18年ぶりですが、当時の自分に何と声をかけたいですか。
 
ディーンさん:(通訳の方の進行ぶりを受けて)頼りになりますね。
 
(会場笑い)
 
ディーンさん:18年ぶりですかね。確か2007年とか8年でしたよね。(前回は2006年第19回TIFFアジアの風『八月の風』TIFF上映タイトル『八月的故事』でご登壇)
その時自分は中華圏をベースに活動していて。その時は日本で仕事をしたことはなかったのですが、東京国際映画祭にお招きいただいて参加しました。当時は、本当に無計画だったので、俳優のキャリアがこんなに長く続くとは思えずにいて。衝動のままに動いたなかで色々な願いに導かれて、色々な国に渡り、そうして、この度めぐりめぐって監督のマイクと出会い、 東南アジア、シンガポール、インドネシアを中心とした今回のプロダクション作品と出会いました。
自分はインドネシアには、とても縁が深い人生なので、そこで、映画クルーが体を張り、命をかけて頑張って作った作品を、こうした形で、代表して監督と一緒に皆さんにお届けできるということが、ひとつの奇跡のような感慨深い気持ちで、今このステージに……座らせてもらっています(笑)(Q&Aは着席して行われました。)
 
(会場笑い)
 
ディーンさん:この作品は、本当に様々な国の方々がそれぞれの資質を持ち寄ってくださり、作られました。そのあたりを、監督、お話ししてください。
 
監督:はい。この作品は、インドネシアで撮影したにもかかわらず、本当に国際的な作品になりました。私を含め、今日ここにいるプロデューサーたちはクルーたちに感謝することがたくさんあります。
そう、今日はプロデューサー陣全員と、友人たち、そして私のチームの編集、音楽、ポストプロデューサーも、皆ここにいます。私たちの映画の、このグローバルなチームが実際にここに来てくれて、本当に感謝しています。この映画は、とても未来志向な作品だと思います。資金調達の方法もそうですが、シンガポール、インドネシア、日本、イギリスの間で、より広いパートナーシップを築き、共通言語としての映画を製作したことで、こうして、この東京国際映画祭に皆で集まることができました。
 
ディーンさん:ロシアの投資家なんかも来ていましたね。
 
監督:でも、撮影したときはインドネシアのジャングルのど真ん中で、まさか携帯が繋がらないとは思いませんでした。
 
ディーンさん:電波も届かず天井のない場所で寝ることもあったよね(笑)
 
監督:私がこれまで経験した中でも、最も過酷な制作だったよ(笑)
これまで、いつも屋内のスタジオで撮影していたから野外で取りたいなと思っていたけれど、まさかこんなに過酷だとは思わなかったです。 雨風もありますし。ディーンさんは、撮影現場まで毎日45分ほど歩いていて、ほとんどあれはトレッキングだよね。
 
ディーンさん:そうだね
 
監督:でもそうした環境でも、彼はすべてを出し切ってくれました。ついてすぐ彼は、「さあ、カメラはどこだ?」と言ったんです。撮影する前には、2人で静かな中色々な確認をして。 ジャングルという場所と、そして撮影のクルーたちが、困難な環境にもエネルギーをもたらしてくれました。だから本当に感謝しています。
 
ディーンさん:(英語と日本語を交えながら)特に、私の日本語での台詞や細かい所作などを確認しておきたかったんです。日本の皆さんに見てもらうときに、そこに共感してもらえるかというのはとても大事なことでした。
ジャングルだろうと、ビーチだろうと、スタジオだろうとその場所で撮影をする以上、そこは私たちのクリエイティブルームみたいなものです。私たちはこうした環境でも信頼を築き上げる ことができました。
もちろん、ジャングルでの撮影は大変なものでしたけどね。タフでなければいけませんでした。だって、ジャングルでの撮影では、冷蔵庫もなく、電気も使えないなんて想像できますか?(笑)
でも、こうした何の設備もないジャングルの中でも撮ったということが、この作品にさらなる深みを与えたと思います。撮影したのはインドネシアですが、映し出される自然や風景は、とてもローカルでありながらグローバルなものとも言えて、国籍問わず映画を観た人が、自分は地球の一部なんだと感じられるような、普遍性をもった作品に仕上がったのではないでしょうか。
だから今日この場所にいられて、本当に感謝しています。
 
監督:私も感謝しています。
 
ディーンさん:そして、景色というものがこんなに情感を持つんだということも感じました。
最後にもうひとつお伝えしたいのは、 この作品に参加して、もちろんマイク(監督)との出会いも大きかったですが、(プロデューサー)のエリック・クーとの出会いも大きかったです。どのようにこの作品がシンジケートされるのか、 コンテンツ制作における資金調達の仕組みというものを、エリックからも直々に色々教えていただきました。
時間がなくなりましたか。すみません。というわけで、1番話したかったことがあまり話せませんでしたが(笑)以上です。ありがとうございました。
 
市山PD:大変盛り上がった、素晴らしいトークでしたが、(質問を受けられず)質問を考えていた方には大変申し訳ありませんが、以上です。ありがとうございました。
 
ディーンさん:すごいっすね。容赦ないですね(笑)
 
(会場笑い)
 

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